できることを数える

階段から落ちて首の骨を骨折し、両手、両足に麻痺がある患者さん。入院時には1人で歩いたり、着替えなどができませんでした。入院時、「 1人で歩けるようになりたい」と言われていた患者さん。数ヶ月たって、最近は杖なしでも外を1人で歩けるほどに回復しました。

しかし、歩きにはぎこちなさや麻痺が残り、骨折前と完全に元の状態に戻ることは困難です。

そんな中、患者さんより「もうこんな体じゃ普通に歩けないのか、悲しいな」、「もうジョギングはできないのか」、「こんな体でこの先ずっと生きていくと思うと嫌になる」など、いろいろとできなくなってしまった。こんなこともできない。情けない。などの言葉が聞かれます。

健康な私では患者さんのおかれた立場や状況はの理解はできないと思いますが、人はポジティブなことよりネガティブなことのほうに焦点が向きやすいのかもしれません。

ネガティブな点を数え上げてリストアップはできても、今できていること、できるようになったことのリストアップは難しい。

私自身にあてはめると、仕事の残業が多い、こんなストレスのたまる仕事は嫌だとか、ネガティブな面のリストアップをしがちで、逆に休みがとりやすいとか、周りのスタッフのサポートが得られて助けられているとか、仕事の良い面、ポジティブな面にはあまり目を向けられていないことに気付きます。

私自身について、今の状況を嘆いたり不満をリストアップしても状況は変わらない。お先真っ暗と感じるような時。そんな時は今の状況でも、できていること、できることにも目を向けてみる、そして今の状況でもできることを増やしていく。そんな視点を思い出したいです。