やなせたかしさんの言葉③ 敵だけれど味方、味方だけれど敵

“バイキンは食品の敵ではあるけれど、アンパンをつくるパンだって菌がないとつくれない。助けられている面もあるのです。つまり、敵だけれど味方、味方だけれど敵。善と悪とはいつだって、戦いながら共生しているということです――”

アンパンマンが成功したのは、ばいきんまんの功績が大きい。自分で言うのもなんだが、ばいきんまんは世界的傑作だと思う。

ばいきんまんの登場によって、アンパンマンに、もうひとつのメッセージが生まれた。「共生」だ。バイキンは食べ物の敵ではあるけれど、実は、パンだって酵母菌がないとつくれない。バイキンも、食べ物がないと繁殖できない。

つまり、パンとバイキンは、敵だけれど味方、味方だけど敵という共生関係にあるわけだ。これは、われわれ人間にも言える。バイキンが絶滅すればいいのかというと、実はダメなのだ。人間も生きられなくなる。

 

私は、何か自分にとって不都合なもの、嫌なものはすぐ排除したいと考えてしまいます。共生関係。共に生きる道を探す、共に生かす道を考える。

おたがいさま。人生、良いことも嫌なことも両方あって人生。排除せず、受け入れ、より良い道を探していく。生み出していく。

バイキンマンに込められたメッセージ、深いです。