イノベーション

前回の記事の続きですが、薄井さんが一流ホテルで働いていた時の話しで、お客さんから三味線の演奏会をしたいが借りられる会場はあるかと問い合わせがありました。あいにく全ての会場は予約でうまっていましたが、平日に一ヶ所空きがある場所に気づきます。それはホテル内のチャペルでした。そこで薄井さんは上司に相談しますが、上司から「チャペルは結婚式で使用する場所でそれ以外で使用したことはない。それに管理しているのは別部署だから無理」と言われます。しかし、まったく納得のいかない薄井さんは、他部署とかけあいその結果、特別に使用できることになりました。

実際にチャペルに金屏風を立てて会場を整え三味線の演奏会を行うと、チャペルで三味線という特別な場に参加者から大好評! その後、これがきっかけとなり、今まで休日にしか使用されていなかったチャペルが平日にも使用されるようになり、ホテルの収益がアップ。薄井さんはホテルの営業開発副支配人に抜擢されることになりました。


薄井さんの言葉で、「過去の経験が荷物となるか、土台となるか」とあります。それまでの慣例やチャペルは結婚式のみで使うのが当たり前という概念から、「 チャペルは結婚式以外でも使ってもいい 」という、薄井さんの視点から新しい概念が創発されました。


これは、私の職場内でも慣例や当たり前だからという理由で続けており、もし外部の人からみたら無駄なことやもっと良い方法がある気がします。職場で会議やワーキンググループを行っても、いつも同じメンバーでは、同じにような価値観から同じような結論に落ち着いてしまい、イノベーションは難しく感じます。


私個人についても、同じような気がします。私の思い込みや当たり前と思う概念からは、いつも同じような結論となり新しい選択は生まれにくいです。これを打破するには、自分とは真逆の意見や考えがヒントになるかもしれません。

今までは、自分が「間違っている」とか「ありえない」と思う意見は、すぐ否定し、排除してしまうこともありましたが、最近では自分では絶対考えないような事がイノベーションを生むチャスかもしれない。自分には受け入れられない、耳を貸したくないような意見にイノベーションの宝が眠っているかもしれないと思うようになり、ありがたく感じる時もでてきました。師匠に、「ファーストアンサーを否定しない」と以前いわれましたが、まずは否定、排除せずいったん受け入れる余裕が少しでてきました。その上でそれをどう扱うのか?荷物とするのか?土台とするのか?

自分の新しい世界を開くイノベーションにつなげられるのか?