逆境力

田坂広志さんの講演の動画を見直し、心に響いた所のまとめです。

逆境を乗り越える力とは? 

医者から命が長くないと告げられた田坂さんが禅寺で禅師とのやりとりから気づきます。

以下、講演の一部のまとめです。


人生を開くという一点で考えるならば、最も大切なものは逆境力。

どれほど優秀な方であっても、志しが高ければ高いほど、必ず逆境に直面します。

そもそもなぜ逆境を乗り越えられないのか?

それは目の前の逆境に正対できなくなるからです。問題に直面すると必ず心がこう動く、

 あー、なんでこんな事になってしまったんだ 」。過去を悔いる事に永遠とエネルギーを使ってしまう。もしくは逆で、

 あー、こんな事になって、これからどうなってしまうんだ 」その不安で心がいっぱいになってしまう。未来を憂うことでまた永遠にエネルギーを使ってしまう。

目の前逆境に本当に心を一つにして正対すれば、道は開ける、力も湧き上がってくる、叡智もおりてくるにもかかわらず、それができない。


田坂さんは、医者から非常に深刻な病を告げられます。医者の診断、「 もうあなた、命、長くない 

医者から匙を投げられたような状態でどんどん崩れていく自分の身体、本当に不安で不安で日々が地獄。もう頼るものがない状況の中、たまたまご両親からある禅寺を紹介されて、藁をもすがる思いで禅寺で行かれます。

そして禅師と接見。


禅師に「どうなさった」と聞かれると、

堰を切ったように、自分がどのような病気で、医者に診断を受け、そして見放され、もう誰も救ってくれないそのどん底の思いの中でここにやってきたか、もう切々と語って、禅師の言葉を待ちます。

さぞや深い、本当に勇気づけられる言葉を聞かせて頂けるんでないかと思って言葉を待っていると、仰った言葉は一瞬耳を疑う言葉。

「あぁそうか。もう医者が見放したか。そうか、もう命長くないか。」

「はい。」そうしたら、なんと仰ったか。

「そうか。命長くないか。だがな、一つだけ言っておく。人間、死ぬまで命はあるんだよ。」一瞬何を言われたか、当たり前のことを言われた気がします。その後禅師がもう一つの大切な事を仰って接見は終わり。長い廊下を歩きながら、今何を言われたんだ?と考えた時、はっと気づきます。

 自分はもう死んでいた。心が死んでいた。」

振り返れば、もうこの日までもう何ヶ月、心は常にこの思い。

 どうしてこんな事になってしまったんだ。 」、「 もっと健康に気をつかっていれば。」、「 どうしてこんな病気になってしまったんだ。」、その過去を悔いる事に永遠と時間を使い、心のエネルギーを使い、今度はそれでなければ、「 どこか他の医者が助けてくれるのか?いや、それは無理か。」、そんな未来を憂い、「 最後はどうなってしまうんだ?」この恐怖感の中で日々を過ごしてきた、その瞬間に先ほどの禅師が続けて仰った言葉が本当に腹に響きます。何と仰ったか。

「過去はない、未来もない、あるのは永遠に続く今だけだ。今を生きろ、今を生ききれ」

その言葉が、心の奥底からもう一回蘇る。そうだ、その通りだ。

そして、今を生ききれという言葉が、心の中で鳴り響く中、その瞬間、田坂さんは病を超えたと感じます。これは病が治ったという意味ではなく、症状だけであればその後も10年病とつきあい続けたそうですが、病を超えたと思った瞬間、どんな思いになったのか。

 あー、明日死のうが、明後日死のうが、もうかまわん。ただ、この病に対する恐怖、不安、後悔、そのために、今日という1日を絶対無駄にしない。今日という一日を大切に大切に精一杯に、生きよう。明日人生が終わりになるとしても、今日という1日は絶対に後悔はない生き方をしよう。」


志を持って生きていく。そして志を持つということは、単に遠い未来の夢を描くというではない、本当の意味での志を抱くということの意味は、今日という一日を精一杯に生きる。全力を尽くして生きるという意味だ。



田坂さんの動画は、ここから先、本題に入っていきます。また、心に響いた所をまとめたいと思います。

今と向き合って、今を生きる。マインドフルネスでも言われてますが、つい私の心は過去や未来のことばかり考え、今から離れてしまいます。私の1歳半の子供は、過去も未来も概念がないので、今という瞬間を毎日生きています。その姿にふと気づかされます。