余命と向き合う人②

NHKのドキュメンタリー番組

「100カメ」余命と向き合う人 人生の残り時間を意識する人たちの日常に密着

 

「余命と向き合う人」では、さまざまな事情で「人生の残り時間」=「余命」と向き合うことになった5人の方が、がんとわかったことをきっかけに、自らの「余命」を意識し、毎日の生き方を見つめ直していました。

 

5人の方のうち、カジカワさんについて。

 

「余命半年」と告げられてから1年が経過したカジカワさん、時々「もしかしたらこのまま生きられるかもしれない」という期待と「そんなに都合がよい形にはならないだろうな」という複雑な気持ちを抱くそうです。

「健康になりたいとは言わない。がんが寛解すればいいとも言わない。前のような生活に戻りたいとも願わない。ただ、平穏な毎日が、このままずっと続いてくれたらいいなと思いながら日々を過ごしている」

 

取材で、「病気がわかってから始めたことはありますか?」という質問に対して。

「将来のために我慢しておこうということはやめました」

 

カジカワさんは、病気がわかってから禁煙を始め、2度の抗がん剤治療に挑みました。しかし、202010月、がんが全身に広がっていることがわかり、もう3度目の治療をしないと決めたときからタバコを再開します。「何のためにタバコをやめていたんだろう」とバカバカしくなり、特別欲してもいなかったようですが、吸い始めたそうです。

 

「ささやかな抵抗みたいなところはあったかもしれません。刹那主義というほどではありませんが、法に触れないこと、粋じゃないこと、娘に言えないこと以外は我慢するのをやめようと考え今に至ります。あまり大人の考えではないですね」

 

決して自暴自棄になったのではありません。ほかにもカジカワさんは、バランスを取るよりも、とにかく好きなものをたくさん食べたり、葛藤の末これ以上の治療はせず家族と自宅で過ごすことを選んだり、とにかく自分の気持ちに素直に生きることで、悔いなく残りの人生を全力で生きようとされています。

「こうあるべき」とか周りの目を気にせずに、自分の人生を自分の意思で切り開いていく姿が印象的でした。